2013年11月25日

聲の形 第1巻(まんがレビュー)(2)

少年マガジンにて、「大今良時」氏の新人賞受賞作が、「障害者へのいじめ」というデリケートなテーマを扱っていたためになかなか掲載されずに紆余曲折をへて、ついに連載になって大きな反響を巻き起こしている、というのが、今回レビュー記事を書いている「聲の形」です。

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聲の形 第1巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC
(上が楽天BOOKS、下がAmazon)

さて、前回はほとんど「あらすじ」を書いただけで終わってしまったので(^^;)、今回はちゃんと「レビュー」しようと思います。
なお、ここからのレビューは、単行本1巻の内容にとどまらず、現在連載中の内容(単行本では2巻ないし3巻の初めあたりまでを含むと思われます)にまで言及しているので、その点はご了承願います。

ただ、「レビュー」と書きましたが、この話を読み解くのは実はとても難しい。

改めてストーリーを大雑把にまとめると、こんな感じです。
小学校に転校してきた耳の聞こえない少女「西宮硝子」は、学校に溶け込めず、生徒から陰湿ないじめを受けるようになる。ところがやがてそれが校長の耳に入り、いじめの先頭に立っていた「石田将也」は「主犯」とされ、一転、いじめの被害者に転落。そんな将也にいたわりのそぶりを見せる硝子だったが、将也はそれを偽善だとののしって受け入れず、ついに二人は取っ組み合いの喧嘩をして、硝子は転校して去っていった。そんな二人は別々に高校生になり、そして再会する…

この作品の、いちばん「表層的」な読み解きというのは、「自分がいじめられても相手を責めず、それどころか救いの手さえ差し伸べようとする西宮(硝子)さんマジ天使」といったものでしょう。
まあ、そこまで露骨な読み解きでなくても、「硝子の心の美しさがこの物語の救い」みたいなレビューは、既にいくつか読みました。

でもそれでは、この物語の本質を大きく外している、と思います。

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 21:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする

2013年11月18日

聲の形 第1巻(まんがレビュー)(1)

障害といじめを取り扱った話題のコミック、いよいよ第1巻が出ました。

※非常に長くなってしまったので、何回かに分けて書きます。

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聲の形 第1巻
大今良時
講談社 少年マガジンKC
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このまんがは、紆余曲折をへてきた「問題作」だといえます。

この作品は、もともと作者である大今良時氏の少年マガジン新人賞受賞作でした。(2008年)
ところが、通常は受賞作はすぐにマガジン姉妹誌に掲載されるはずのところ、テーマが「聴覚障害者へのいじめ」というデリケートなものであったことから掲載が見送られ、作者はこの「聲の形」ではなく、原作のあるSF作品「マルドゥック・スクランブル」の連載でデビューを果たすことになります。
(この「マルドゥック・スクランブル」も完成度の高いすばらしいマンガになっています。当ブログにてレビュー済み。)

この「マルドゥック・スクランブル」連載での成功を認められ、ようやく受賞作の「聲の形」(新人賞を受賞したオリジナル版)は2年半ぶりに日の目を見ることになったのだそうです。これが2011年の話。

その反響の大きさに力を得た講談社は、マガジン系で最も発行部数の多いメジャー誌である「週刊少年マガジン」への「聲の形」の連載の可能性を模索し始めます。
そのための「前振り」として、オリジナル版「聲の形」をあらためてリメイクした「聲の形」が、今年春の週刊少年マガジンに読み切りとして掲載され、ふたたび大きな反響が。
その反響に自信を得た講談社・少年マガジン編集部は、まさに「満を持して」いよいよ今年の夏から「聲の形」を週刊少年マガジンに連載しはじめたのです。

そして本書は、その「連載バージョン」の聲の形のコミックス第1巻ということになります。

聲の形
↑某ショップでの初回特典である大今先生イラストカードつきの第1巻です。

なお、以下ネタバレです。
ストーリーの核心部分というよりは「あらすじ」になっていますが、これから読むという方でまったくストーリーを知りたくない方はご注意下さい。

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 20:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 雑記 | 更新情報をチェックする

2013年11月11日

NOといえる(ようになる)療育 (20)

このシリーズ記事、後半は、「しない」ということば(拒否の意思表示)を活用したコミュニケーションがなぜ「難しい」のかについて、さまざまな角度から考察しています。

前回書いたとおり、「しない」ということばは、背後に「時間の概念」や「将来への見通しをもつスキル」などを前提としており、それらのスキルに乏しい、知的障害の重い自閉症児にはとても理解や活用が困難なことばである、と考えられます。

この点について、さらにもう少し深堀りしてみたいと思います。

なぜ、「しない」ということばが、いくつもの複雑な概念を理解していないと使えない、難解なことばになってしまうのか。

それは、

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする

2013年11月04日

NOといえる(ようになる)療育 (19)

このシリーズ記事、後半は、「しない」ということば(拒否の意思表示)を活用したコミュニケーションがなぜ「難しい」のかについて、さまざまな角度から考察しています。

今回取り上げるのは、「時間的見通しについてのスキル」についてです。

「しない」というコミュニケーションは、言い換えると、「行動の予約についての取り消し」です。
つまり、「将来についてのある種のコミットメント(何か言うこと)」なわけです。

ですから、「しない」というコミュニケーションを自ら理解し、使いこなすためには、この「時間的見とおし」についてのスキルがどうしてもある程度必要になってくるのです。

これを、少し違う視点から考えてみます。

こちらが「Aをする?」と聞かれて、子どもがAをやりたくないとき、「しない」という最も適切な反応ができずに、その代わりに「Aをしたくなくてパニックする」という反応が出てきたとします。

でも、このパニックには、もう少し細かく見ると2つの種類があると考えられるのです。

続きがあります・・・
posted by そらパパ at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする
子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
孫が自閉症らしい、どうしたら?という祖父母の方へのアドバイスはこちら

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