2013年07月29日

NOといえる(ようになる)療育 (11)

このシリーズ記事、後半は、「しない」ということば(拒否の意思表示)を活用したコミュニケーションがなぜ「難しい」のかについて、さまざまな角度から考察しています。

前回のエントリでは、「しない」(やりたくない)というコミュニケーションを教える際には、同時に「する」(やりたい)というコミュニケーションを教える必要があることから、これがABAでいうところの「分化強化学習」に該当する、という話題について書きました。
つまり、「○○をやる?」という刺激(問いかけ)に対して、「する(やりたい)」と「しない(やりたくない)」という2つの異なった反応を使い分けるという学習をしなければならない、ということです。

そして、分化強化学習としての「しない」のトレーニングの難しさの1つとして、子どもの「する(やりたい)」と「しない(やりたくない)」の2つの反応を分ける要因が、子どもの内面の「やりたい」「やりたくない」という動機付けにあることがあげられます。

つまり、子どもがいまその行為を「やりたい」のか「やりたくない」のかが、大人が外から見ても「見えない」わけです。
そういう状況だと、子どもが「する」と答えたらその行為をやらせる、あるいは「しない」と答えたらその行為をやらせない、という対応をしたとしても、必ずしもそれが強化になっていない可能性があるわけですね。

この問題を、どうやって解決していけばいいのでしょうか。

実は、この問題には、ある一面では非常にエレガントな解決の構造があります。

それは、

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posted by そらパパ at 20:00| Comment(3) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする

2013年07月22日

NOといえる(ようになる)療育 (10)

このシリーズ記事、後半は、「しない」ということば(拒否の意思表示)を活用したコミュニケーションがなぜ「難しい」のかについて、さまざまな角度から考察しています。

前々回、前回のエントリで、「しない」ということばの「難しさ」の要素の1つとして、「しない」を教える対象の行為については、それまでに「する」という経験を繰り返していなければならないし、「しない」を教え始めて以降も、「する」ほうの経験も重ねていかなければならない(そうしないと、「しない」を覚えたら「する」を忘れてしまう、という自閉症児にありがちな失敗に陥ってしまう可能性が高くなる)、という話題について書きました。

このように、よく似た状況下で、2つの反応についてそれぞれ異なった結果(強化・弱化)を与えることで、2つの反応の両方を適切にコントロールして学習させていくことを、ABAの用語で「分化強化学習」といいます。

これは例えば、冷蔵庫に「お茶」と「おやつ」の2つの絵カードを貼っておいて、子どもが、のどが渇いたときには「お茶」の絵カードで要求してお茶を手に入れ、おなかが空いたときには「おやつ」の絵カードで要求しておやつを手に入れる、といった単純なものも含まれると思いますし、より実践的なものとしては、子どもが何か欲しいものがあったときに、パニックで泣き叫ぶという反応をした場合には何も手に入らない(弱化)、でもことばや絵カードで「○○ください」と言った場合にはそれが手に入る(強化)、といった形で結果をコントロールすることで、もともとパニックで何かを要求してしまっていた子どもの行動を適切なことば・絵カードでの要求に切り替えていく「代替行動分化強化」といったものも含まれます。

そして、今回話題にしているような「する」「しない」を使い分ける分化強化学習は、次のような形になります。

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posted by そらパパ at 21:24| Comment(2) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする

2013年07月15日

NOといえる(ようになる)療育 (9)

このシリーズ記事、後半は、「しない」ということば(拒否の意思表示)を活用したコミュニケーションがなぜ「難しい」のかについて、さまざまな角度から考察しています。

前回、「しない」ということばの「難しさ」の要素の1つとして、「しない」の対象になっている行為を「しない」と考えることができるようになるためには、その行為を「する」という経験を繰り返していなければならない、という一種のパラドックスについて書きました。

今回からは、そこからさらに一歩進んで、よりテクニカルかつ重要な点について考えていきたいと思います。

いままで、いろいろな行為を「する」(やりたい)というコミュニケーションだけを教えてきて、そこから新しく、「しない」(やりたくない)というコミュニケーションを教えようとするとき、重要なポイントは、

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posted by そらパパ at 21:40| Comment(3) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする

2013年07月08日

NOといえる(ようになる)療育 (8)

このシリーズ記事、後半は、「しない」ということば(拒否の意思表示)を活用したコミュニケーションがなぜ「難しい」のかについて、さまざまな角度から考察しています。

前回、「しない」ということばの対象となる行為が実際には存在しない、というのが、しないということばの「難しさ」の1つの大きな要素になっている(だろう)、ということについて触れました。

つまり、するかしないかを聞いている時点でも、その「行為」は行なわれていないですし、その質問に対して「しない」と答えた場合には、結局最後まで、その「行為」はいちども現れず消えていきます。(一方、「する」と答えるパターンの場合は、言った後でその行為が現に現れるので、「要求すると出てくる」という、マンド的な比較的難易度の低い=学習させやすいやりとりになります。)

簡単にいうと、大人が「○○をする?しない?」と子どもに聞いて、子どもが「しない!」と答えて、大人がそれにしたがって○○をせずに済ませた場合、「○○」は結局「なかったこと」「話題にのぼっただけ」になるわけです。

○○は、ことばの世界以外にはまったく登場していません。

でも、「話題にのぼっただけ」ではあるものの、コミュニケーションとしては、「○○が話題になった(提案されて、断られた)」ということを双方が理解している必要があります(そうでなければコミュニケーションが成立していないわけですから)。

そのために必要なスキルとして、前回の記事では、いわゆる「内言語スキル」をあげましたが、もう1つ当然に必要になるスキルが「する?しない?の対象になっている行為を理解していること」、つまり、「○○する?」と聞かれたときに「○○」ということばが示している行為を知っていて、理解できる、ということです。

これは少し考えてみると意外と奥が深い話です。

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posted by そらパパ at 21:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする

2013年07月01日

NOといえる(ようになる)療育 (7)

このシリーズ記事の後半は、「しない」ということば(拒否の意思表示)を活用したコミュニケーションを意識的に教えるにあたっての「難しさ」について、さまざまな角度から考察しています。

前回までの過去3回の記事では、「しない」というのは(マンドやエコーイックといった比較的容易な言語行動ではなく)イントラバーバルに相当する、複雑な言語行動だという点について書いてきました。

今回からは、「しない」ということばの持っている、それ以外の難しさについても考えていきたいと思います。

言語行動としての特性以外で、まず思いつく難しさといえば、

「しない」の指し示すことば(行為)が、想像上、イメージでしか存在しない。

ということだと思います。

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posted by そらパパ at 21:18| Comment(6) | TrackBack(0) | 娘の話 | 更新情報をチェックする
子どもが自閉症かもしれない!どうしよう!という親御さんへのアドバイスはこちら
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