2011年04月25日

「子育ての工夫」としてのABA入門 (14)

家庭の療育に活用するための、ABAの考えかた、使い方についてご紹介するシリーズ記事の第14回です。
今回は、強化についての少し難しい(でもとても重要な)話題を取り上げます。


3.全部強化と部分強化について

これまで、行動に対して「ごほうびを与える」のが強化(その行動が増える)、「ごほうびを与えない」のが消去(その行動は減る)、というお話をしてきましたが、それでは、ある行動に対して「ときどき(あるいは「稀に」)ごほうびを与える(つまり、言い換えると「ときどきはごほうびを与えない」)」という働きかけをすると、どうなるのでしょうか?

このような働きかけは、「部分強化」と呼ばれます。
これに対して、行動に対して、常に「ごほうび」を与えるやり方のことは、「全部強化」と呼ぶことがあります。
部分「強化」とあることから分かるとおり、このような「ごほうび」の与え方であっても、「強化」、つまり、行動を増やしたり維持したりする力があります。

全部強化と部分強化は、次のように使い分るのがいいと言われています。

・新しい行動を学習させるとき :全部強化を使う
・学習できた行動を維持するとき:部分強化を使う


新しい行動を学習させるときは、「適切な(学習させたい)行動には常にごほうびを与える」という「全部強化」の働きかけを行なうことで、学習をスムーズに進めることができます。
一方、一度学習できた行動には、必ずしも常に「ごほうび」を与える必要はなく、ときどき「ごほうび」を与える(部分強化)だけで、その行動は維持されます。

興味深いのは、「行動を維持する力」は、実は全部強化よりも部分強化のほうが強いことがある、ということです。

例えば、スロットマシンと自動販売機という2つの機械を考えてみましょう。
続きがあります・・・
posted by そらパパ at 21:19| Comment(7) | TrackBack(0) | 理論・知見 | 更新情報をチェックする
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